では、昨日の続きをば。
③不動産ファンドバブル
②のバブル景気崩壊後、商業地を中心に地価は下落し、不動産向け融資は「不良債権化」しました。
「不良債権」にはなりましたが、都心のビルなどは決して悪い資産ではなく、安定した賃料(家賃)を産んでいますから、家賃に対して、相対的に安くなった不動産価格は、「家賃」という収入に対する利回りを大きく上昇させたのです。
ここに目を付けた海外の投資会社(投資ファンド)が、都心を中心とした優良な不動産を安く買いたたいていったのです。
一方で不良債権処理対策として、「不動産を小口化」して投資家に売却する方法が欧米から持ち込まれ(これがREITね。)、投資家資金を活用した「不動産再生」手法が活発となっていきました。
これが、2005~7年ころのいわゆる「不動産ファンドバブル」で、前回のように「土地価格」が上昇する、というよりも「ファンド」が投資対象としていた「ビル等の収益不動産」への投資が活発となりました。
でも、2005年の東洋経済では
「不動産ファンドは、バブルではない」との見方をしています。
理由としては
①バブル期には逆ザヤ投資や値上がり期待の投機色が強かったが、2005年頃は合理的に不動産価格が算定されているため。
合理的な価格算定とは…投資家の要求利回りとレンダー(金融機関)から調達するノンリコースローン(NRL)金利、担保掛目(LTV;評価額に占める借入金割合)、CAPレート(収益還元利回り)、売却想定価格などを組み合わせて逆算から価格を算出しているとのこと。
②都心部AクラスビルのCAPレートが、今春以降3%台まで低下している。
評価額が2~3割上昇しているが、不動産投資のコストであるNRL金利も低下していること、PF(私募不動産ファンド)自らのバリューアップ後NOI(償却前営業利益)で評価額を算出して応札し始めたこと、旺盛な需要などが要因でファンドバブルではない?とのことでした。
要は、バブル崩壊によって不良債権化した物件が底値を打ち、割安感から購入が活発になっているのであって、投機目的ではないと。
また、物件取得意欲は旺盛だが、賃料は下落したままなのでCAPレートが低くインカムゲインにもそれほど旨みがないし、それを元にした鑑定評価額での取引だからバブル期とは違うってことね。
まぁ当初はそうだったんですが、EXITしてみると取得価額(簿価)と売却額で差益が大きいな!って気づいちゃうんですね。
更に不良債権化した不動産がひととおり買われると、ストックを増やすのに新築や築浅の物件に投資対象が移行し、買い手市場になったので価格が高騰し始めます。
中古物件の場合は質が悪い、違法建築が多いってこともありますが。。
でも、新築はデベロッパーから完成前に買い付けるので、造る側は質を落とし始めちゃいましたww
元々分譲仕様で設計されていた物件が賃貸仕様に様変わりし、施工も工程を省きました。
そうすることで販売経費(広告料やモデルルーム設置費用、販売人件費など)が当初の計画より削減され、質を落とすことで収益率がUPしました。
当時、新築のファンド物件の内覧会がありまして見学に行きましたが、部屋内のクロスが遠目にも波打っちゃって?下地の処理を省いてスラブに直貼りとかww 外壁のタイルも波打ってましたねぇ。
あるデベの物件はファンドが外壁タイルにクレームつけて、入居者が入ってから半年間掛けて外壁タイルを全部貼り替えさせましたっけ。(そして貼り直し完了直前に難癖つけて購入キャンセルしましたから!)
当時の新築物件は躯体に問題はないんですが、施工が雑なものも結構あります。これがその理由です。
そしてPFからのEXITはJ-REITへ取得させることで、かさ上げが当たり前になり、内部にいたからよく知ってますが、誰が査定したのかもわからない賃料をベースに鑑定評価額が算出され、高値買い付け、高値転売となっていきました。
このように安定運用でミドルリスク・ミドルリターンを標榜していた不動産ファンドへの投資はいつの間にかキャピタルゲイン狙いのコロガシへと姿を変えていきます。
もうすでにこの頃はバブルの様相です。
取引価格の上昇で賃料を割高に設定してもCAPレートが追いつかず、首都圏では無理と判断したファンドは地方へとその矛先を変えて行きました。
当時は福岡、札幌を皮切りに仙台、名古屋、大阪などの政令指定都市まではよかったんですが、福島とか新潟、岡山などへも波及していきました。
賃料も首都圏に比べ平均所得が低い地方で、東京並みの家賃を取る物件も出てきました。
東京で客付していても、単身で15万円以上の賃料を支払える人なんて主要3区のサラリーマンでも数える程しかいなかったのに、供給はすごい数になってました。
賃貸の場合は入居審査があるので、審査落ちする人も多かったなぁ。
だって、高額の賃料を払える人って職業不詳の怪しい輩か、風俗・水商売のお姉ちゃんばかりでしたからね。
札幌・福岡は中々満室稼働しませんでした。札幌なんてタワーマンションが沢山できましたけど、北海道・沖縄は平均所得低いんですから、家賃は東京の半値が基本だったのに単身で10万円超えって払える人いるわけないじゃん!
とそんなこんなの時に米国発リーマンショックがキタ━(゚∀゚)━!
で、OUTでした。
でも、アベノミクス&2020年東京オリンピック開催が決定したことで、またまた首都圏の不動産価格は値上がりを見せています。
更に金商法改正による投資会社の自己買付などや来年のNISAスタートなど投資環境は良好です。
過去50年間に3度あった不動産バブルをご紹介しましたが、あなたはこれを教訓に今後どうされますか?