中間搾取と下請け構造
中間搾取とは、労働者と使用者の間で直接交わされるべき雇用契約に介入して、どちらかから謝礼を受け取ったり、賃金の一部を先取りすることです。
中間搾取には、中間請負人が特定の作業を請け負い、その請負代金の一部を取得する形態と、労働者を直接供給し労働者からその賃金の一部を取得する形態とがあります。
下請け構造とは、元請け企業が下請け企業に発注し、下請け企業はさらに孫請け企業に発注するという重層的な発注・受注関係のことです。
産業が階層構造になること自体は海外でも珍しいことではなく、役割分担に応じて適切な構造を形成するのであれば何の問題もないのですが、ヒエラルキーの維持が目的化されてしまうと著しい非効率化を招くことがあります。
中間搾取と下請け構造は、日本経済が低迷する理由の一つとして挙げられます。その理由は以下の通りです。
◯中間搾取は、労働者の賃金や待遇を低下させることで、消費や投資を抑制し、経済活動を停滞させる可能性があります。
また、中間搾取者は、労働者や使用者に対して付加価値を提供せずに利益を得ることで、社会的な不公平感や不信感を生み出す可能性もあります。
◯下請け構造は、元請け企業が下請け企業に対して価格や納期などを強制的に押し付けることで、下請け企業の経営や技術力を圧迫し、イノベーションや競争力を阻害する可能性があります。
また、下請け企業は、孫請け企業に対して同じような圧力をかけることで、さらなる非効率化や品質低下を招く可能性もあります。
以上のように、中間搾取と下請け構造は、日本経済の生産性や成長性を低下させる要因となっていると考えられます。
中間搾取と下請け構造の具体例
◯中間搾取の具体例としては、労働者派遣事業や有料職業紹介事業などが挙げられます。
これらの事業は、労働者と使用者の間に介入して、労働者から紹介料や派遣料などの一部を受け取ることで利益を得るものです。
また、建設業やシステム開発業などでは、工事や開発を請け負った企業が、その一部や全部を別の企業に再委託することで、中間マージンを得ることもあります。
◯下請け構造の具体例としては、自動車産業や電機産業などが挙げられます。これらの産業では、大手メーカーが製品の設計や組み立てを行い、部品や素材は下請け企業に発注することが多いです。
下請け企業はさらに孫請け企業に発注することもあります。
また、建設業やシステム開発業などでも、元請け企業が下請け企業に工事や開発を発注し、下請け企業は孫請け企業に発注するという重層的な下請け構造が見られます。
中間搾取と下請け構造の問題点
◯中間搾取は、労働者の賃金や待遇を低下させることで、消費や投資を抑制し、経済活動を停滞させる可能性があります。日本の労働者の賃金は、1997年以降ほとんど上昇しておらず、実質賃金は減少傾向にあります。
このことは、日本の経済成長率や内需の低迷に影響していると考えられます。
◯中間搾取は、労働者や使用者に対して付加価値を提供せずに利益を得ることで、社会的な不公平感や不信感を生み出す可能性もあります。
中間搾取者は、労働者や使用者のニーズや意見に応える必要がなく、自己の利益のみを追求することができます。
このことは、労働市場の透明性や公正性を損ない、労働者や使用者のモチベーションや信頼関係を低下させる可能性があります。
◯下請け構造は、元請け企業が下請け企業に対して価格や納期などを強制的に押し付けることで、下請け企業の経営や技術力を圧迫し、イノベーションや競争力を阻害する可能性があります。
日本の下請け企業は、元請け企業に依存することで自主性や創造性を失い、コスト削減や納期短縮に追われることが多くなります。
このことは、下請け企業の付加価値や生産性を低下させるだけでなく、新たな市場や技術への挑戦を妨げる可能性があります。
◯下請け構造は、下請け企業が孫請け企業に対して同じような圧力をかけることで、さらなる非効率化や品質低下を招く可能性もあります。
日本の下請け構造は、重層的で分散的であることが多く、情報伝達や品質管理が困難になります。
このことは、製品やサービスの欠陥やリコールなどのリスクを高める可能性があります。
以上のように、中間搾取と下請け構造は、日本経済の生産性や成長性を低下させる問題点を抱えています。
何でこの問題に触れたかと言うと、
51階建ての複合施設のビルだそうだけど、竣工と同時に「大島てる」に載っちゃうんだろうな。
下請け構造が原因だとは言えませんがね。
まあ、建設業は色々な仕事を束ねてやらないといけない仕事なので。
ビル建設に関わる業種はざっくりみても、
以下のように沢山あります!
◯建築一式工事業
ビルの設計や施工を総合的に行う業種です。
建築物の新築や増改築、改修などを行います。
ビルの骨組みとなる鉄骨や鋼板などの鋼材を加工や組立てを行う業種です。
鉄骨工事や橋梁工事などを行います。
ビルの電気設備や照明設備などを設置する業種です。
発電設備や変電設備、送配電設備なども含まれます。
◯管工事業
ビルの冷暖房や空気調和、給排水や衛生などのための設備を設置する業種です。
水道やガス、空調などの管を使用して水や油、ガスなどを送配する設備も含まれます。
◯内装仕上工事業
ビルの内装仕上げを行う業種です。
木材や石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、カーペットなどを用いて天井や壁、床などの仕上げを行います。
◯屋根工事業
ビルの屋根をふく業種です。瓦やスレート、金属薄板などを用いて屋根のふきや断熱工事などを行います。
◯ガラス工事業
ビルにガラスを加工して取付ける業種です。
窓やドア、パーテーションなどにガラスを取付けたり、防犯ガラスや断熱ガラスなどの特殊なガラスを使用したりします。
◯塗装工事業
ビルに塗料や塗材などを吹付けたり塗付けたりする業種です。
外壁や内壁、床や天井などに色や質感を与えたり、防水や防錆などの効果を与えたりします。
◯防水工事業
ビルに防水処理を行う業種です。アスファルトやモルタル、シーリング材などを用いて屋上やバルコニー、浴室などに防水層を形成したり、浸水や漏水から建物を守ったりします。
◯機械器具設置工事業
ビルに機械器具を組立てたり取付けたりする業種です。エレベーターやエスカレーター、空調機器、消防設備、立体駐車場などの機械器具の設置やメンテナンスなどを行います。
以上がビル建設に関わる主な業種ですが、他にも細かい分類があります。
これを別々に発注してたら施主は大変なので、
元請けの大手建設会社が受注するしかないんだけどね。
でも、運送業の下請けは何か違う気がするんだけど…
運送業における下請け構造は、戦後の高度経済成長期に始まったとされます。
当時、物流需要が急増し、大手運送会社は自社の輸送力だけでは対応できなくなりました。
そこで、下請け会社や個人事業主に一部または全部の輸送を委託するようになりました。
また、荷主企業も、物流コストを低く抑えるために、運送会社との直接取引ではなく、仲介業者や物流コンサルタントを通じて発注するようになりました。
こうして、運送業界には多重下請け構造が形成されていきました。
運送業における下請け構造は、以下のような問題点を抱えています。
◯下請け構造は、実際に輸送している運送会社が荷主企業からの適正な運賃を収受できない問題を引き起こします。
下の層になればなるほど運賃が安くなり、労働者の賃金や待遇も低下します。
このことは、運送業界の人手不足や離職率の高さにつながります。
◯下請け構造は、運送会社間の競争や荷主企業の価格圧力によって、運賃相場を破壊し、物流サービスの品質や安全性を低下させる可能性があります。
下請け会社はコスト削減や納期短縮に追われることで、法令や規則を無視したり、不正な行為を行ったりすることもあります。
◯下請け構造は、荷主企業や元請け会社が実際に輸送している運送会社やドライバーを把握できない問題も引き起こします。
これは、物流情報の伝達や管理が困難になり、荷物の紛失や破損などのトラブルやクレームの発生や対応に影響します。
以上のように、運送業における下請け構造は、物流業界において様々な問題を起因させています。
Amazonを受けたヤマト運輸と拒否した佐川急便って、つい先日ネットにあったなぁ。
このままだと日本は終わりになりそう…