首都圏不動産 Tokyo-realestate

首都圏の不動産投資やお部屋探しについて書いてます。

これからの不動産

昨日は2013年の首都圏における100億円を超える不動産取引について記事にしました。

総じて、売却よりも取得の記事が目につきました。

売却では、ソニーパナソニックという2大家電メーカーが相次いで東京の自社ビルを売却しました。

このNEWSを調べてみたら、いよいよ首都圏脱出だとか?放射能汚染から逃げるためだとか?訳のわからんブログも散見されましたが、どちらも日本ビルファンド投資法人J-REIT)が取得して、財務体質強化のための資金にしています。

そしてソニーは5年間、パナソニックは10年間の賃貸借契約を締結して、そのまま使用します。決して首都圏脱出ではありませんww

今後、首都圏の不動産価格は上昇が見込まれますが、高値で売却するよりも、損失補填のためにできるだけ早く現金化したい意向だったと思われます。

不動産取引は定価は無く、相対取引ですから売り側が欲しい金額で売れる時が売り時なんですね。ソニーはこれ以外にも保有資産の見直し(売却)を進めており、決算時にかなりの売却益を計上してます。

その他の取引では現状売却したのではキャピタルロスになる、あるいは今後の価格上昇が見込めるものは売られていないようです。

売却されているのは簿価を上回りキャピタルゲインがでるもので、今後不動産取引が活発化すると不利になる要因があるものかな?

まぁ、そう単純ではないのでね。

各々の事情(融資金利や償還期限、是正事項と費用対効果や時期、時間などなど)で売りに出ているものとストックされているものがあるようです。

この辺は個人が家を売買するときみたいに、いつが買い時?売り時?ってどこで判断しようか?って様子見なんでしょうね。

それでも単体のビルが1,000億円以上で再び取引される時がこんなに早くくるとは!ってのが正直な感想です。

そして今日の本題ですが、REIT物件のデューデリと是正、コンプライアンスなど以前ブログで記事にしましたが、今後はそれに加えて企業が保有する不動産も企業価値向上の観点から、経営戦略的視点に立って見直しを行い、有効活用や効率管理して不動産投資の効率性を最大限向上させていこうというように変わっていきます。

それがCREです。

企業不動産(Corporate Real Estate, CRE)の管理、運用に関する企業戦略のことをいう。

Wikiより

日本においてまだ統一された定義はないが、国土交通省が2008年4月28日に公表している「CRE戦略を実践するためのガイドライン」では、『企業不動産について、「企業価値向上」の観点から経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方を示すもの』という定義が紹介されている。ここでいう「CRE」(企業不動産)とは、企業が保有及び利用する全ての不動産を指し、同省では日本のCREの資産規模を約490兆円と推計している。

一方、日経「企業と不動産」プロジェクト編 『CRE戦略 企業不動産を活かす経営』(2009年7月21日日本経済新聞出版社より出版)によれば、CRE戦略は、「長期的・全社的な経営戦略の視点に立って、企業価値最大化を目指し、その他経営資源と共に企業不動産を最適かつ効率的に運用する方針・技術」として定義されている。更に、同書では、CRE戦略の実現に必要なCREマネジメントについても、「CRE戦略の執行のため、その他経営資源と共に企業不動産が最適かつ効率的に運用されるよう、作業活動を経営管理する活動であり、同活動のために設計・運用されるプロセス、情報システム、組織の体系」と定義されている。

近年、固定資産への減損会計の導入、M&Aの際のパーチエス法(時価評価)の一部導入、棚卸資産(販売用不動産)への低価法適用、賃貸等不動産の時価等の開示、資産除去債務の計上といったIFRS国際財務報告基準)コンバージェンス(収れん)に伴うCRE関連の新会計基準の適用が相次ぎ、企業不動産の時価情報の開示と財務諸表への反映が進みつつある。こうした時価情報の開示と財務諸表への反映が進むにつれ、企業は、投資家、金融機関等を中心とした利害関係者に対して企業不動産並びにそれらの投資効率に関してより一層説明責任を負わねばならなくなってきている。更に、2015年以降導入が検討されているIFRSアドプション(強制適用)が実施されれば、更に格段に時価情報の開示と財務諸表への反映が進み、企業は益々企業不動産の投資効率を上げることが求められるようになるものと予想されている。こうした動向を踏まえ、現在、CRE戦略、CREマネジメントの企業内での構築と、これらのITによる実現、即ちCREマネジメント・システムの導入が本格化しつつある。

また、これの背景としては

①固定資産への減損会計の導入、棚卸資産(販売用不動産)への低価法適用、賃貸等不動産の時価等の開示、資産除去債務の計上といったIFRSコンバージェンスに伴うCRE関連の新会計基準の適用により、企業不動産の公正価値(時価)が開示され、不動産マーケットの動向、企業不動産の投資効率が直接企業の業績に影響を与えるようになってきていること。

IFRSアドプションへのロードマップが公表されたこと。(金融庁企業会計審議会より、2009年6月16日に「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」が公表された。)

企業価値の向上と低収益不動産・遊休不動産の活用に対する競争基盤強化に向けた企業の動機が強まっていること。

③CRE関連の企業リスクとしては、価格変動リスク、コンプライアンス・リスク(設計・建築の法令違反等)、オペレーショナル・リスク(CREによる企業活動の制約等)、環境リスク(温室効果ガス、土壌汚染、アスベスト、PCB等)、カントリーリスク(海外不動産)等、様々なリスクがあることが認識されており、CRE関連のリスクに対するリスク・コントロールが企業の持続的成長に必要との認識が高まりつつある。このような状況により、CREマネジメントが企業のリスクマネジメントの一部を補完するとの認識が高まりつつあること。

温室効果ガス抑制と省エネルギーを目的として、以下の法令条例が施行され、CREの温室効果ガス抑制とエネルギー管理の要求は年々より高い管理水準が求められており、CREマネジメントにおいてもエネルギー管理の機能が求められるつつあること。

だそうです。

たしかに不動産ファンドが日本で始まった当初は、日本はカントリーリスクがなく、良質な?不動産ストックが豊富にある!って叫ばれてましたが、いざ蓋を開けてみると違法建築(容積率オーバーとかね)やら検査済証がないだの、境界確定してないだの酷いもんでしたから。

分譲マンションだって20年の長期修繕計画が新築当初から策定されたのは昭和60年代くらいからでした。

それ以前の分譲マンションにはこの考え方がなくて、大規模修繕を行う際には、かなりの額の費用負担が各戸に割り当てられたものです。だから意見がまとまらず修繕が頓挫したケースもあります。

さらにバブル期には管理会社の倒産が相次ぎ、これらの積立金を溶かしちゃったってこともありました。

また話がそれちゃいましたが、

企業も保有不動産、(自社ビルもあるでしょうし、工場や倉庫など)の固定資産の価値を新会計基準にあわせて時価で計上しなさいと。

2001年の金融ビッグバン以前は企業の保有する不動産は簿価で計上され、含み益(取得が昭和40年代以前だとすごい含み益がありますた)を背景に活動してきた「日本的経営」にとって根底を揺るがすものだった。当時は企業が時価で計上すると含み益がすごかったので、全国の社宅や保有地を大量に放出しましたっけ。

不動産会社はいい場所(大手企業の社宅や保有地はいい場所にあったんですよね。)の土地が放出されて開発するのにラッキーでしたけど。

最近になってビルやマンションも築50年クラスがかなり増えてきました。

メンテナンスをしっかりやってもらわないと壁の崩落なんかで第三者が危険です。

またCREには再開発や証券化、売却、賃貸で収益を上げることも含まれるんですよ。

しかしながら多くの企業では、総務部や管財部といった部署で、企業不動産が取り扱われ、施設・設備のコストダウンとか社屋の改善、遊休地の土地活用などとして個々バラバラに対応し、そこで蓄積された諸データの一元管理すら覚束ない状況なんですね。

これでは上記③の保有リスクをヘッジできないと…

でも不動産や建設を取り巻く法制や社会環境は年々複雑化し、そのための専門スタッフ養成が追いつかず、蓄積された諸データは、脈絡もなく散在し、企業不動産の中長期的な適正管理戦略はおろか目前のリスク管理コンプライアンス体制構築すら困難な状況になってきています。

そこで、このような一般企業のCREへの取り組みの遅れをビジネスチャンスと捉え、不動産・建設の各社が蓄積した不動産の再開発や運用ノウハウを生かして、企業に多様な不動産活用を提案し、本業のビジネス拡大を図るという取り組みが最近は多くなってきています。

そうして不良資産は淘汰され、本当に日本の不動産ストックは優良だと、認識されるようになって欲しいもんです。